カーボン・CFRP成形時の抜きテーパについて

まだまだ注意!CFRP・ドライカーボンの「脱型」工程

設計時のアンダーカット対応に関するコンテンツでも説明いたしましたが、カーボン・CFRPの「脱型」という工程があります。その工程があるため、設計の際、“型が抜ける形状”である必要があります。
プレスや射出成形などに携わった型であればお気づきかもしれませんが、アンダーカットだけでなく、 “抜き勾配(抜きテーパ)”が必要です。また樹脂や金属よりもドライカーボン・CFRPの表面はシビアであるため、より丁寧な抜き勾配への理解、対応が必要です。

「抜きテーパ」とは?

抜きテーパ(抜き勾配)とは、成形物と型が擦れることなく外すための傾斜のことです。抜き勾配が無いと、型から成形物を外す時に型と成形物が擦れ、成形物の精度が落ちてしまいます。
特にCPFR・カーボンでは樹脂とは違い繊維が含まれているため、毛羽立ったような面が出てしまいます。見た目はもちろんですが、強度的にも劣ってしまい、クラック等を引き起こす可能性もなり得ます。

抜きテーパの例

どれくらいの抜き勾配(抜きテーパ)をつけるべきか

プレスや射出成形では一般的に0.5〜2°の抜き勾配(抜きテーパ)をつけるものとされています。ドライカーボン・CFRPでも、同様の形状であれば同様のテーパで抜くことが可能ですが、脱型時に抜く距離に依存することにも注意が必要です。抜く距離が短ければゼロに近いテーパ角でも抜くことは出来ますが、距離が長いとそれなりのテーパ角が必要です。表面性状や、生産したい成形品の数量にもよりますので、具体的には対象製品毎に相談させて頂きます。

もちろん、機能性やデザインの観点から形状的にテーパを付けたくない場合には、型を分割することにより、テーパの無い形状の成形は可能です。コストや生産性を優先するのか、形状を優先するのか、ご検討の上ご判断ください。